P.I.STOCKFILE | INTERVIEW/ 01.01 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX
PROFILE/
菅野よう子
菅野よう子
早稲田大学在学中にバンド『てつ100%』のキーボードとしてデビュー。解散後、作曲家として活動を開始し、『マクロスプラス』でアニメーション音楽に初挑戦。代表作に『MEMORIES』『ブレンパワード』『カウボーイビバップ』『ウルフズ・レイン』などがある。また声優の坂本真綾への楽曲提供でも知られている。
佐藤 大
佐藤 大
作詞・小説・企画・放送構成・脚本とメディアを問わない活動を続ける執筆家。『カウボーイビバップ』では設定協力、脚本、コミックスの原案、LD・DVD封入のライナーノーツの執筆、リミックス盤の企画などさまざまな形でかかわる。現在は『攻殻機動隊S』のほかに『ウルフズ・レイン』の脚本も手掛けている。
FOOTNOTES/
注10ステロタイププロダクツ。映像制作、グラフィック、ファッションブランド『ASYURA』など、幅広いフィールドで活躍しているデザイン・ユニット。
菅野よう子(YOKO KANNO)×佐藤 大(DAI SATO)01
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――― 佐藤さんは音楽の仕事もしているということで、監督から音楽についての相談を受けたと伺いましたが、実際に菅野さんの音楽がついた本編を観てどうですか?
―佐藤 僕は音楽が菅野さんに決まった段階で、ファンとして楽しむ方向になってしまいましたね。ただ前々からお付き合いがあったので、菅野さんが入ってきたときに、「仲間が来た」という意識はありました。それで「もう安心」みたいな。
―菅野 わかるわかる!
――― そういった安心できる部分もあって、菅野さんから佐藤さんに、オリジナルサウンドトラックのプロモーション・ヴィデオ(以下PV)を頼まれたということでしょうか?
―菅野 あのPVは良かったよね。でも、大さんってあれで何をしたの?
―佐藤 主にディレクションですね。
―菅野 例えば「この絵を使って〜」みたいな?
―佐藤 もっと漠然としたものですよ。菅野さんから「カッコイイ『攻殻S』を」というオーダーを頂いたので。まあそれには経緯があって、劇場版『カウボーイビバップ』のPV(注10)を作った時、予告編を制作するのにまだ絵の素材ができていないから、TVシリーズの絵で何か出来ないかという話を受けたんですね。それで僕の知り合いでステロタイププロダクツというデザイン・ユニットがいて、「すごくカッコイイから」って彼らの作品を観てもらったんです。そしたら菅野さんに気に入って頂いて。それからはステロと菅野さんを繋いで、話し合って決めていったでしょう。今回もこのPVの打ち合わせをしたときに、菅野さんが「ステロに頼みたいんだろうな」という感じがしたので。
―菅野 じゃあ今回はオレの言ったことを伝書鳩してくれたと。で、出来てきて「ああ、良いんじゃない〜」って(笑)。
―佐藤 そうそう(笑)。
――― 具体的にはどうオーダーだったんですか? そもそも、今回のPVを作った狙いというのは?
―菅野 全曲バラバラなものをちょびっとずつだすみたいな感じ。何やってるのかわかんないけどいっぱい入ってるっていう印象にしてほしいなと思って、さわりだけをちょいちょいちょいって1秒とか5秒とかで全部だしてやろうと。『攻殻S』は日常とか人間ドラマがメインだけど、音楽担当としては「いやっ、それだけじゃないんですよ。普通のSFとか好きな子も全然オッケーです」っていうような間口を広げたいなと思って、考えず感覚的に格好良く見えるものを作って欲しいと思ったの。神山監督が生みだした『攻殻S』の、あのまったりした話や絵を使っても、ここまで切れ味の鋭いものもできるっていうことを、監督に対して自分からアプローチしたかったの。
―佐藤 なるほど。
――― まさにその通りのものに出来上がっていると思います。評判も良いですよね。
―菅野 いいですよね〜。あれは解るでしょ? 誰でも。
―佐藤 そう! そういう風に作ったしね。
―菅野 そういう間口を最初に広げておきたいなと思った。あれは先に音楽を編集したんだよね。色んな曲をバババってブッた切って繋げて。繋げるの面白かったんですよ。
―佐藤 情報量が多いから、ステロは目が点になってましたよ(笑)。でも「それが『攻殻』だよね」っていう話をしたじゃないですか。で、神山監督の場合は“言葉”だけど、菅野さんのやってる音楽がバラエティーさというものが情報量の多さだと例えるなら、今回のPVはすごく合ってると思う。
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