P.I.STOCKFILE | INTERVIEW/ 02.01 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG
 
 
「プロダクション I.G オールナイト」トークショー・レポート
    < BACK NEXT >
笑い男のキャスティングについて
―櫻井 今回のイベントではこれまでのインタビューでは聞かれていないことをお話したいと思っているのですが、トグサとアオイというメインのキャラクターを山寺(宏一)さんが兼任してますよね。そのへんのことをお願いします。
―神山 原作者の士郎(正宗)さんとシリーズ構成をやっていく最初の段階で「トグサという男は公安9課で順調に成長していくと、荒巻に一番近い男になる。荒巻が若い頃に持っていたような正義感とか熱血ぶりみたいな部分というところで共通するところがある」ということを士郎さんから聞いていまして、その中でオリジナルのキャラクターである笑い男を作っていく時に、更にトグサが10歳若返ったら、同じ様な理念をもった男がアオイなんじゃないかという解釈をしました。音響監督の若林さんと「笑い男のキャスティングはすごく難しい」という話をしていたんですけど、若林さんがシナリオを読んで「笑い男というのはトグサの若い頃のような感じなんじゃないか」と感じ取ってくれ、難航していたキャスティングでしたが「山寺さんが二役やるのが一番いいんじゃないか」というアイデアを出してくれたんです。それは素晴らしいっと思って。結果的に山寺さんにはすごい負荷が掛かってしまいましたけど、山寺さんにやっていただいて結果的にすごくよかったなと思ってます。
―大塚 僕らも最初は知らなかったんだよね。「なんで?」っていう話になって。若林さんに訊いたら、「そのうちわかります」ということだけ言われて。それからすっかり忘れてましたけど(笑)。
―櫻井 26話をみて、ああ、こういうこだったのかと。
―大塚 いえ。何故彼が二役をやったのかっていう疑問すら忘れていて。今、謎が解けました。(笑)
―神山 けっこう僕も若林さんも秘密にしていましたからね。役者さん達にも次の展開がどうなるか楽しみにしてもらいたいというのがあったんで、ネタをばらさずに演じてもらったところもけっこうあったと思うんですよ。
セリフが多くてもギャラは同じ!
―櫻井 笑い男の回は最初連続して4話、5話、6話、9話、11話と放送して、それから間が空いて20話からまた続いていきますけど、大塚さんに言われたことですごく印象的だったのが「笑い男シリーズを一つにまとめてみたいよね」と話をされたときがあって、その時は監督が見えないところでガッツポーズしてました(笑)。制作側の方がそういう風に言ってくれるようになると俄然テンションが上がるし、嬉しいですよね。
―大塚 間に話が入っちゃうとわかんなくなっちゃったりするんですよね。だからそう思ったんでしょう。笑い男の話をよくわかりたいなと思ったから。
―櫻井 視聴者的には現在は毎週放送されるものなのでテンションが保てても、アフレコになると余計に間が空いちゃいますもんね。
―田中 時間が空いちゃって間に違うお話が入ると、前の話を忘れちゃっていて、前回の台本を持ってきてみんなで「前はこんな感じでこういう風に繋がっていたんだよね」ということを話し合いますね。
―櫻井 前後の整合性を確認しつつですね。ああ、この心理的テンションだなということで再開すると。
―田中 攻殻の世界って割と難しいじゃないですか。(脚本の)字面だけを追って喋っているとわからなくなっちゃう部分があるので、感覚で繋がりを確かめながらやっていかないと付いていけなかったりするんですよね。
―大塚 僕たちが意味わかんなくなっちゃうと、まして見ている人は意味わかんなくなっちゃうから。
―田中 そうですね。私たちがまずわからないと
―櫻井 脚本のわかりやすさという面では声優さんに助けられた部分が大きいですよね。監督はどうですか。
―神山 いままで聞かなかったんですけど、「こんなに多いセリフを毎回持ってきやがって」って、思われてないかなって心配があったんですけどね。
―大塚 いっぺんも思わなかったですよ。
―田中 そうですね。
―神山 そういっていただけるとホッとするんですけど。脚本家チームには「セリフが多くても少なくても、声優さんのギャラは変わらないから」って言い方をしていたんです(笑)。大塚さんに怒られちゃうかな、田中さん怒ってないかなって、ちょっと心配だった部分ではあったんですよね。
―大塚 むしろそれと戦うのが面白かったですよね。わかりにくいセリフを、わかりやすく言えるようにと。「さすが大塚明夫だな」と思わせるためにも(笑)。
―田中 どうやったら伝わるかって。
―神山 アフレコも毎回時間を掛けてやりましたよね。それに付き合っていただいたことに関しては本当に感謝していますし、ちょっとはすんなり言える脚本を書こうといつも終わると反省するんだけど。攻殻って独特なセリフ回しだったりとか、説明しない専門用語とかをそのまま投げっぱなしで喋っちゃっていただく所がいっぱいあったと思うんですけどね。
―大塚 小気味よかったよね。視聴者に対してわかりやすくわかりやすくしてっていうのもね。「そんなに見ている人はバカじゃないぞ」っていうものありますし。
  PAGE UP < BACK NEXT >
(c) Shirow Masamune. Production I.G / Kodansha