菅野よう子
早稲田大学在学中にバンド『てつ100%』のキーボードとしてデビュー。解散後、作曲家として活動を開始し、『マクロスプラス』でアニメーション音楽に初挑戦。代表作に『MEMORIES』『ブレンパワード』『カウボーイビバップ』『ウルフズ・レイン』などがある。また声優の坂本真綾への楽曲提供でも知られている。
佐藤 大
作詞・小説・企画・放送構成・脚本とメディアを問わない活動を続ける執筆家。『カウボーイビバップ』では設定協力、脚本、コミックスの原案、LD・DVD封入のライナーノーツの執筆、リミックス盤の企画などさまざまな形でかかわる。現在は『攻殻機動隊S』のほかに『ウルフズ・レイン』の脚本も手掛けている。
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『カウボーイビバップ』はオリジナルの企画ですが、この『攻殻S』は原作として士郎正宗さんのマンガがあって、押井守監督の劇場版と、他にもゲーム化されていたりと、それぞれが評価も高く既に世界観が確立されているわけですが、今回の仕事を行う上でどのような意識で望みましたか?
―佐藤
僕は『攻殻機動隊』を初めて読んだのが高校生の頃なんですよ。劇場版を観たのもまだ若かったしね。メチャメチャ押井さんが好きだったから憧れがあったんですよ。まさか仕事として参加するとは思ってもいなかったから緊張したし、過去の作品と「どう戦うか」というところを特に意識しました。原作ファン・映画ファンには何をやっても全否定されるだろう、という前提でやってたんですよ。マイナスの条件から始まるものには僕は燃えるタイプなんで。
―菅野
わたしの最近のお仕事は『ガンダム』とか『マクロス』とか、「昔ありました」というのが結構多いなと思ってて。でも幸いなことにわたしは前のヤツを知らないので、自分としては新作なんですよね。ただ、『攻殻S』に関してだけは、周りのスタッフがみんな知ってた。「攻殻っていうのやるんだけど」って言ったら全員興奮して「アレをやるんですか!」って。
―佐藤
はははは!
―菅野
頼んでもいない人から「やらせろ」とか言われたし。周りのオトコ連中、エンジニアとか、アシスタントの子とか、シンセの人とかみんな攻殻ファンだったのでギャーギャー騒いで。みんなは「原作があるから」って勝手にマンガを買ってきて勉強しはじめてた(笑)。で、スタジオに置いてあったそのマンガを暇なときに、これまた「しょうがねえなぁ」って読んでみたら、なんかエロいじゃないですか? 「まいったな〜」って。
―佐藤
(笑)
―菅野
でも途中からちょっと面白くなってきちゃったんだな、これが。いまや結構ハマって、細かいことまでは語れないんだけど、「素子カッケェエ!」とかそういうのはね、わかったつもり。遂には第2巻まで読んじゃった。まあでも、原作があることに対してプレッシャーっていうのはいつもあまり無いです。
―佐藤
周りのほうがプレッシャーなんでしょう。
―菅野
特に好きな人はね。録音のときに「これはまさに『攻殻』の世界だね」と言っている人もいれば、「う〜ん」って言ってる人もいて。やっぱりみんなが曲に期待してるし、ファンが多いんだなって。